2009年、米国バーモント州在住の造船技師兼研究者であるダグラス・ブルックス氏(ACC 2008 - 2017)は、5度目となる日本人造船技師のもとでの修行のため沖縄を訪れた。当時彼はACC個人フェローシップの助成を受け、沖縄の伝統的な漁船であるサバニの最後の建造者となったサバニ職人の技術を記録するための研究を行っていた。このプロジェクトには、日本の船の科学館と米国シアトルの木造船博物館からも資金援助を受けた。


サバニとは、半丸木舟の構造で、大きな杉材を固定して船体の大部分を削り出して作られる舟である。第二次世界大戦前は、これらの舟は沖縄全域の先住民漁船団の主力であり、実際には一本の丸太から削り出された真の丸木舟であった。ところが、戦後の資材不足により造船業者は現在の方法を採用せざるを得なくなる。1970年までに、近代的な漁法とグラスファイバー製の舟が完全にサバニに取って代わることとなった。ブルックスの師匠である下條氏は、当時80代でこれらの舟を建造できる数少ない職人の最後の一人であった。下條氏は終戦から1960年代後半まで、グラスファイバー製の舟に切り替えざるを得なくなるまで、手工具のみを使用して約100隻のサバニを建造した。


しかし1990年代半ばまでに、ヨットセーラー、ウィンドサーファー、カヤッカーといった人々がサバニの存在を再確認し、廃船となった船の修復や、下城氏をはじめとする2人のベテラン造船職人に新造船の発注を始めた。彼らは沖縄各地でレースを企画し、やがて座間味島から那覇市までの26マイル(約42キロ)の年間外洋レースを始める。現在では、新旧合わせて50近いチームが船を所有し、ブルックス氏が下城氏に師事する直前に別の造船職人のもとで修行を積んだ國岡恭子さんをはじめとする、若い世代の造船職人も台頭している。


サバニは操縦が非常に難しいことで知られている。新規参入チームは必ずと言っていいほど、船体を直立させるためにアウトリガーを取り付ける。こうすることでサバニはポリネシアの伝統的な船とよく似た外観になるが、沖縄の人々はアウトリガーを使ったことは一度もない。毎年開催されるサバニレースにはアウトリガー付きと伝統的な2つのカテゴリーがあり、アウトリガー付きのチームは皆、いつかアウトリガーを使わずに昔の漁師のように航海できる日を目指して練習に励んでいる。
ブルックスは自身の研究に基づいた著書『日本の木造船建造』を出版し、その中の一章はサバニの建造について書いている。彼の友人で、日本の琵琶湖で船大工をしている俣野広司氏が、ブルックスの原稿を日本語に翻訳し、書籍のデザインを手伝った。この本はこれまでに2刷再販され完売しており、ブルックスと俣野氏は原稿をオンラインで公開することにした。


オンライン版の原稿は、以下の2つのリンクからご覧ください。

https://woodenboat.jp/temp/sabanibook-web/index.html
https://timberlinesmallcraft.com/sabanibook/sabani.html
注:この原稿は繁体字日本語で右から左に読む形式で掲載されているため、スクロールする際は戻るボタンを使用してください。

詳細は、sabaniの著者ウェブページをご覧ください。

https://www.douglasbrooksboatbuilding.com/sabani