アキル・クマラサミーさんはアメリカの作家で、サイエンス・フィクションを含む多様なジャンルを融合させながら、ディアスポラ・コミュニティの多様な声を対話させ、周縁化された人々に光を当てています。長編小説『Meet Us by the Roaring Sea』では、デジタル時代における「思いやり」のあり方を問いかけ、読者と語り手の境界を曖昧にしながら問題を提起しています。また、ラトガース大学で助教授を務め、多くの学生の指導にも尽力しています。
クマラサミーさんは、古代と現代の世界が都市空間の中でどのように衝突し、変容していくのかに関心を持っており、今回のフェローシップでは、東京のような現代都市において、古来の精神修養がどのように共存しているのかを調査します。イタコや霊氣などの日本に古くから存在するスピリチュアルな慣習を調査し、こうした慣習が日本の都市空間にどのよう適合し、変化してきたのか、また、遠隔地でどのように保存されているのかを探求します。
【プロフィール】アキル・クマラサミー
作家。長編デビュー作『Meet Us by the Roaring Sea』(2022年、Farrar, Straus and Giroux)はニューヨーク・タイムズ紙のエディターズ・チョイスに選ばれ、アーシュラ・K・ル=グウィン賞とラムダ文学賞の最終候補となった。連作短編集『Half Gods』(FSG、2018年)は、バード・フィクション賞とストーリー賞スポットライト賞を受賞し、ニューヨーク・タイムズ紙のエディターズ・チョイス、PEN/ロバート・W・ビンガム賞の最終候補に選出された。作品はHarper's Magazine、The Atlantic、American Short Fiction、BOMBなどに掲載されている。ラトガース大学ニューアーク校で助教授を務めるほか、2024-25ラドクリフ高等研究所フェロー。