リーさんとホロハンさんは、素材や制作プロセスへの調査を通じて、地域の知識や技術を建築実践へとつなげる活動を行っています。今回のフェローシップでは、日本各地に残る伝統的な建築技術に着目し、石・土・竹を用いた構法、木組み、船大工の技術などについて調査を行います。各地の職人との交流やワークショップへの参加を通じて、技法だけでなく、それらを支える素材の調達や自然環境、地域文化との関係性について理解を深めます。また、建築家、アーティスト、工芸実践者との対話を重ねながら、地域の素材や環境、文化が建築技術に与える影響を探究し、得られた知見を、文化的遺産と現代のニーズ双方を尊重する持続可能な建築実践へと活かすことを目指しています。
Photo of Lee by Raffaella Endrizzi

プロフィール
エルスペス・リー
建築家・教育者として、倫理的かつ持続可能なデザインを軸に、保存建築、素材の持続可能性、コミュニティとの関わりを重視した活動を実践している。ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンにて建築学修士号および建築科学学士号、アイルランド王立建築家協会にて保存建築認定(Grade III)を取得。現在、香港大学の客員助教授として修士課程のデザインスタジオを指導し、特にアジアの文脈における建築の構築、維持管理、時間性を支える隠れた仕組みに焦点を当てている。

ドン・ホロハン
建築家、教育者、研究者、制作者として、建築実践および社会・環境の持続可能性との関係における、先端技術の可能性を探究している。ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンにて優等学位として建築学修士号および建築科学学士号を取得し、現在、香港大学の助教授を務めるとともに、RMIT大学博士課程に在籍。アーツ・カウンシル建築助成金、Design Trust Seed GrantおよびFeatured Grantの支援を受け、2023年にはEuropean LINA Fellowに選出された。

Superposition
ドン・ホロハンとエルスペス・リーが共同設立した実験的建築スタジオ
2015年に設立されたSuperpositionは、場所、素材、コミュニティによって形づくられる、倫理的かつ持続可能な建築のあり方を探究している。既存の建設モデルに問いを投げかけ、建築を協働と交渉のプロセスとして捉え、地域の素材、労働、職人技、コミュニティと関わりながら、新たな制作・構築の方法を開発している。これまで、香港PMQ、デザイン・ミュージアムの「Beazley Designs of the Year」、深圳Design Societyなどで展示を行ったほか、2024年には、2025年ヴェネチア建築ビエンナーレのアイルランド館代表候補に選出された。