inDialogue: 羊屋白玉 × 武藤大祐 × 横堀ふみ 
コロナ禍とダンス:場のコレオグラフィー 

ライブ配信日時:2020年10月8日(木) 18:00-19:00 
配信URL:https://youtu.be/rbTaN3jkKB0
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<要約>

今回のInDialogueでは、モデレーターの武藤大祐と、登壇者の羊屋白玉、横堀ふみが、コロナ禍の舞台芸術におけるそれぞれの挑戦と可能性について語る。武藤はまず、「場のコレオグラフィー 」、つまり、さまざまな境遇や背景を持つ人々が集い、パフォーマンスを通じて交流する場をどのように企画・創造するかについて言及する。

Sapporo Dance Collective(SDC)やアジア女性舞台芸術会議(亜女会)において、羊屋は「コレクティブ」という概念を強調する。これらの組織は、特にコロナ禍において、必要なコミュニティやサポートを提供できるネットワークを発展させるための貴重な場となった。コロナ禍の中、SDCは市の補助金に申請し、予算を得て映像作品を制作し無料でネット配信することができた。SDCが地域密着型のプロジェクトに力を入れているのに対し、亜女会は舞台芸術に携わる女性の結集を目的とした国際的なネットワークである。 紹介された動画では、羊屋が、大きな社会の中で、パンデミックという状況の中で、亜女会をどのように位置づけることができるのか、亜女会の今後の課題を明らかにしている。SDCも亜女会も、文化や分野を横断しながらも、社会の力を共有するという信念に根ざし、流動的かつ有機的に発展している。

大きな社会の中に自分を位置づけるという試みは、Dance Boxのディレクターである横堀も共有している課題である。欧米のダンスの歴史の延長線上の中に自分を位置づけるのではなく、地域の様々なルーツの中の一つの活動としてDance Boxを位置づけることを目的としている。横堀にとって、ダンスは「日々の暮らしの中にあるもの」である。「新長田のダンス事情」を通して明らかになったことは、ダンスが日常生活の一部であり、遍在することでそのダンス文化は新長田の住民と深く関わっているということである。

武藤は、「新長田のダンス事情」に触発され、「放課後ダイバーシティ・ダンス」という独自の企画を立ち上げ、Tokyo Tokyo Festivalの一環として、子どもたちが区内の外国人住民から伝統舞踊を習うというイベントを開催した。武藤が言うように、彼らのプロジェクトは、羊屋のコレクティブとともに、舞台や劇場といった従来の枠組みの外で活動し、ダンスの限界を押し広げ、新しい文脈を生み出しているのだ。COVID-19の広がりは、一方で、オンラインを活用し、新しいアイデアを試すことで、ダンスの周辺を拡張する貴重な機会を与えてくれた。それは、ダンスのイデオロギーに多面的に挑戦し、空間、現場、他の身体との身体性や関係性を再定義するのに役立った。武藤の言葉を借りれば、私たちがどのように場を振り付けるのかも試されているのである。

しかし、横堀が振り返るように、新たな懸念や課題もあった。そのひとつが、空間と身体の関係をどのように交渉していくかということである。ころなの時代に成長した我が子を見ながら、社会的距離や身体的接触の欠如が、身体と空間の関係の理解にどのような影響を及ぼすのか。2021年に入り、社会的・身体的接触に注意を払いながら、ダンサー、パフォーマー、アーティストにはまだ疑問が残る。舞台芸術のニューノーマルとは何なのだろうか。